フェルミ推定とは、分かっていない数値について分かる数値を用いて推測することを指します。
具体的には、調査が難しい数値について知識や前提をもとに、論理的かつ短時間で推定をおこないます。
たとえば、「空港の利用者数」や「カフェの売上」などが問題になります。
採用試験としてフェルミ推定があり、できるかどうか不安な学生がいると思います。
しかし、フェルミ推定で採用担当者が見ているポイントを押さえられれば大丈夫です。
ここからは、フェルミ推定で見られているポイントを3つ解説します。
1つ目は、論理的思考力です。
フェルミ推定は、数値を推定することが目的となるため、論理性が重要ポイントです。
そのため、どのような過程を通して、数値を求めたのかという論理的思考力が見られます。
自分の知識や前提条件をもとに、根拠のある推定をおこないましょう。
2つ目は、考え抜ける粘り強さです。
前提として、フェルミ推定はパパッと簡単に解ける問題ではありません。
そのため、定かでない数値を求めるために、忍耐力を持って推定することが大切です。
分からない問題に対しても、忍耐力を持って考え続けられるかが面接官の見るポイントとなります。
3つ目は、コミュニケーション能力です。
採用試験では、なぜその答えにたどり着いたのかという思考のプロセスを面接官に伝えます。
また、面接官からフィードバックをもらい、議論や質問をおこないます。
したがって、正しい答えを出すことだけでなく、自分の思考回路を論理的に伝えられるのかというコミュニケーション能力も見られていることを忘れないようにしましょう。
【参考】【フェルミ推定】4ステップの基本解法はこれでマスターしよう!
採用試験のフェルミ推定がどのようなものかイメージは湧いてきましたか。
「今度の採用試験でフェルミ推定があるけど解き方が分からない」と悩んでいる学生もいると思います。
そこで、ここではフェルミ推定でよくある例題を見ていきます。
まず、マンホールは何のためにあるのかを考えます。
マンホールは下水道を清掃したり、目視で確認したりするために設置されています。
そのため、1区画に1つの水道管があると仮定すれば、マンホールは1区画に1つあることが推定できます。
そして、東京都の人口は1300万人であることから、700万世帯ほどであることもわかります。
また、1区画の世帯数を15世帯とします。
以上から、東京都内には「700万÷15=46.6」、47万個のマンホールがあると推定されます。
まず、消しゴムを使う人の人口を求めます。
消しゴムを使う人は、鉛筆やシャーペンを日常的に使っている人と言えます。
そのため、6歳以下の子どもはあまり使わないと推定でき、1学年100万人とすると、日本の人口1.2億人から600万人引くことができます。
また、社会人やシニア層になると頻繁に消しゴムを使うことは少なくなりますよね。
そのため、1.2か月に1個、消しゴムを消費する学生と、1個の消しゴムを1.2以上使う大人層に分けることができます。
以上から、7~18歳までの学生、12学年つまり1200万人と、19歳以上の1億人で考えていきます。
学生1200万人は1年に6個ほどの消しゴムを消費し、19歳以上の1億人は1年で0.5個の消しゴムを消費します。
よって、日本で1日に売れる消しゴムの数は(1200万人×6個+10000万人×0.5個)÷365日=33.4万個であると推定されます。
まず、軽トラックとテニスボールの大きさを推測していきます。
軽トラックの荷台の長さが大人1人が寝転がれるほどの約2メートルです。
また、軽自動車の幅は約1.5メートルであり、荷台の高さは30センチほどと推測されます。
そして、テニスボールは片手で持つことができるので、直径5~6センチと思われます。
ですので、高さ30センチの軽トラックの荷台には、テニスボールを5つ積み上げることができます。
以上から、軽トラックには、33個×25個×5段=4125個のテニスボールを敷き詰められると推定されます。
フェルミ推定の解き方のイメージはできてきましたか。
問題を解いたことがあっても、苦手だと感じる人が多いと思います。
そこで、ここからは苦手な方に向けて克服法を解説していきます。
これからフェルミ推定の採用試験を受ける人はぜひ参考にしてみてください。
1つ目の方法は、フレームワークを理解することです。
フェルミ推定には、解き方のフレームワークが存在します。
そのため、いきなり答えを出すのではなく、前提を確認して、基本式を計算することから始めましょう。
基本式が準備できたら、数値が異なる単位を分けて考え、具体的な数値を設定します。
そして、最後に数値が現実的であるか、計算ミスはないかを確認します。
2つ目の方法は、例題を解きまくることです。
フェルミ推定を解くコツは、やはり慣れることです。
例題を解きまくることで、基本の数値を覚えることができ、推定しやすくなります。
また、単位の異なる数値を設定しやすくなり、より現実的な数値に近づけることができます。
3つ目の方法は、「導き方」を忘れないことです。
フェルミ推定には、パターン化された導き方があります。
同じ売上を求める問題であっても、購入頻度や回転数など用いる基本式が異なります。
問題に慣れていき、パターンを掴むことが大切です。
4つ目の方法は、どうしても避けたい場合は業界を考えることです。
採用試験でフェルミ推定を実施する業界は、コンサルや外資系、投資銀行などが多いです。
そのため、フェルミ推定の試験が少ない業界を受けることで、採用試験を受けなくて済みます。
どうしても苦手で問題に慣れることが出来ない人は、業界を変更することも検討してみてください。
採用試験でフェルミ推定を解く時に大切なことは、時間配分に注意し、面接官の意見を聞くことです。
限られた時間の中で推定するため、苦手なステップがある人は得意なステップを早く済ませて、時間を見積りましょう。
そして、チーム業務の適性としてコミュニケーション能力も見られているため、自分が出した答えに頑固にならず、面接官の話を受け入れることがポイントです。
今回は、マンホールの数や鉛筆の売上を求めるフェルミ推定について解説しました。
フェルミ推定は問題を解く機会が少ないと、苦手意識を持ってしまいがちです。
なので、まずは例題を解きまくり、パターンを掴むことから始めましょう。